「なるほど。他に、早く肺に気が流れるようにする方法はありませんか」と町会長。

「陰の物を全て処分すれば、極めて速く肺の機能は上がりますが、僕が知る限り、そういうことができる人は一人もいません。そんなことができるのであれば、人は150年は生きられるはずです。しかし、120歳を超えた人は一人しかいません。人間は、皆、死にたがっているのです。」

「僕は、長生きをしたいと思っていますが」と町会長。

「もしかして、『家庭の医学』という本を持っていませんか。」

「医学書は必要です。医学的な知識がなければ長生きできません」と町会長。

「『家庭の医学』には人の写真が入っているので、強い陰ですよね。」

「確かに陰ですが、医学書は必要です。」と町会長。

「町会長の場合、肺に気が流れているので、今のところ処分しなくても問題はありませんが、3年ほどすれば、肺の気が止まってしまいます。」

「しかし、3年もすれば、新型コロナウイルスのワクチンはできあがっているでしょうから・・・」

「町会長に『家庭の医学』を処分するように言っているのではありません。どんな陽好きの人でも、必ず強い陰のものを持っていると言いたかっただけです。そして、陰のものを持っている理由があるので、親子の間でも処分させることはできません。人は、皆、死ぬための用意をしているのです。」

「なるほど。そうかもしれません。僕も教え子の結婚式に出席することにこだわって、肝臓が弱いのに、赤道直下の灼熱の島に行ったのですから。しかし、長生きしたいと思う気持ちがあるのは確かです。」

「意識は長生きしたいと思っていますが、潜在意識が人類の滅亡を避けるためできるだけ早く死のうとしています。潜在意識の方が意識より頭がいいので、意識のこだわりを突いて、陰の物を所有させます。アインシュタインのような超天才でも、76歳でなくなっていますから、超天才の潜在意識はとてつもなく頭がいいのでしょうね。」

「渡辺さんも強い陰の茶道具持っているということでしたね」と町会長。

「おっしゃる通りです。恐ろしいほど強い陰なのですが、処分して動体視力が上がると、息子のミスが激しくなって、仕事に差し支える可能性が高いので、そのままにしています。」

「なるほど。渡辺さんにもこだわりはあるのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。こだわりのない人間はいないので、そこを突かれて、人間は老化し、死んでいくのです。」

「ところで、天才系の人は、なぜ子供のとき肺に気が流れていないのですか」と町会長。

「『天才、子供』で画像検索をすると、肺に気の流れている子供がトップ画面に二人いました。」

「なるほど、全員肺に気が流れていないということではないのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。天才と思われる子供の画像の多くは、肺に気が流れていませんが、流れている子供が若干います。」

2020/2/17

<筆者の一言>
15日の日曜日に、陽のビールを持って、丸善のお店に試合のお礼に伺った。梅澤さんは2階でお客さんと話をしていた。卓球用品をみていると、すぐにお客さんが帰ったので、お礼を言ってビールを渡した。ちょうど、塩ビ管の耐用年数が25年ぐらいだと確信したところだったので、水漏れの話をした。梅澤さんも一戸建ての家に住んでいるのだが、自分の家の水道管が、鉛菅なのか塩ビ管なのかさえ分かっていない。
かなりの長話になろうとしたとき、お客さんが入って来た。すると梅澤さんは『話が脱線したので、今日はこれまで』と言った。

家に帰っても、『話は一貫していて脱線はしていないよな』と思った。そして、来月の試合の日程について聞くのを忘れていたことに気がついた。電話をすると社長の息子さんが出た。『ちょっと難しい話をしたら、梅澤さんの頭がいっぱいになって追い返されてしまったのですが、試合の予定を聞くのをうっかりしてしまいました』と言うと、たかしさんは笑いながら『梅澤は接客中なので聞いてきます』と言った。

戻って来て、『春の八王子大会がちょうどいいと言っていますが』と言う。『梅澤さんとの個人的な試合の話しなんですが』と言うと、すぐ梅澤さんが出た。『今年は試合には出ません。水道の工事をしなければなりませんから』と言うと、『そうでしたね。2月3月は忙しいので試合はできません。4月以降になります』と言ったので、『分かりました』と言って電話を切った。

『話が脱線した』と言う意味がやっと分かった。『春の八王子大会』は歴史があるので全国から強豪が集まると言ったことがある。『それがちょうどいい』ということは、僕の実力を評価しているのだ。サービスエースを取られたことがショックだったに違いない。梅澤さんはツッツキの名手なので、サービスエースを取られることなんて滅多にないのだろう。考えても、考えても、僕のサーブに対する対策が思いつかないのに違いない。試合の前の練習の時、『動体視力が上がらなくって』と言ったのも、梅澤さんの頭を混乱させているに違いない。梅澤さんは、なぜエースが取れるようなサーブが出せるようになったのか理解できるような話を期待していたのだ。『2月3月は忙しい』と言ったのは、『対策を練って練習しておかないと試合はできない』と思っているからだ。しかし、僕と同じサーブができる人はいない。2月3月が忙しいのは事実だが、対策を練ってシミュレーションをしておく必要がないのなら試合はできる。

2023/1/19